臓器別に見るがんの症状と検査方法

消化管の出血を調べる「便潜血反応」は大腸がんのスクリーニング検査

国立がんセンターのがん統計予測によれば、患者数が最も多く、今後もその増加が続くとされているのが「大腸がん」です。部位別死亡者数でも2位となっている「大腸がん」は、初期症状はほとんどなく、出血や便の表面に血が付いていたり、便の形が鉛筆のように細くなったり、下痢と便秘を繰り返して気づきます。腹痛を起こす人もいます。

大腸内視鏡で精密検査

しかし、出血等の症状は痔と似ていることから、消化器内科の受診が遅れてしまうケースもしばしばです。また進行するまで自覚症状がほとんどない人も多いので、40歳を過ぎたら年1回の大腸がん検診を受けるようにしましょう。女性の死亡者数はがん全体で1位ですので、特に便秘になりやすい女性は注意しましょう。

大腸にできるポリープの1割は将来、がんになる可能性があるので注意が必要です。便潜血反応や大腸内視鏡検査はがんやポリープの早期発見に欠かせませんが、お尻という部位の特性上、恥ずかしいという気持ちから検査に尻込みしてしまう人もいます。しかし、大腸内視鏡は検査時にポリープをその場で切除することもできるため、非常に効率のいい検査法なのです。

大腸がんのスクリーニング検査(ふるいわけ)としては、排便の際に便を採取して、2回分を医療機関に提出する「便潜血反応検査」が行われます。検査結果が陽性(+)の場合は、消化管のどこかに出血があるということですので、大腸ポリープ、痔、大腸がんなどが疑われます。

大腸がんが疑われる場合は、精密検査として大腸内視鏡検査などが行われます。疑わしい所見が認められれば、その組織を採取して、病理学的検査を実施して、がんの有無を確認します。大腸がんの大半は大腸ポリープががん化したものですので、この内視鏡検査でポリープが見つかった場合は、内視鏡の先端に付いたワイヤーでポリープを切除して採取し、がん細胞の有無を調べます。

その結果、がん細胞が見つからなかったとしても、ポリープはがん化するリスクがあるので、切除すればがんの予防にもなります。ポリープにがん細胞が見つかった場合は、大腸がんの治療を開始します。

便潜血反応が陰性(-)だとしても、出血を起こしていないがんのケースもあるので、油断しないで定期的に内視鏡検査を受けることが大切です。陽性の場合、大腸がんのほかにも、胃がんや食道がんによる出血も考えられるため、大腸内視鏡だけでなく、上部消化管内視鏡検査も必要となります。便潜血反応は大腸がんを調べる上で最初の入り口となる検査ですので、健診や人間ドックを受診する機会があれば、必ず行いましょう。

便潜血反応の陽性率は進行がんでは76〜87%で、早期がんでは29〜52%となっています。健診の受診者を対象にした調査では、便潜血反応の陽性率は約7%となっており、陽性と判定された受診者で実際にがんと診断された割合は3.5%でした。