臓器別に見るがんの症状と検査方法

腫瘍マーカー「PSA」の定期的な測定で自覚症状のない前立腺がんを発見

膀胱の下に位置し、尿道を取り囲んでいる前立腺に発生する「前立腺がん」は初期には症状がほとんどありません。膀胱や尿道が圧迫されて排尿障害が現れる場合、その原因のほとんどは良性の前立せん肥大によるものですが、前立腺がんの場合は進行している可能性があります。

PSAと直腸診による初期検査で発見

前立腺がんは50歳代から発症者が増加し、その大半は60歳以上の高齢者となっています。原因としては、加齢に伴い男性ホルモン(アンドロゲン)のバランスが崩れるほか、前立腺の慢性的な炎症、食生活の欧米化などが加わって発症するとされています。他のがんに比べて進行速度は遅く、抗がん剤が効きやすいため、適切な治療をおこなえば通常の生活を送ることが可能です。

前立腺がんの早期発見のためには、前立腺特異抗原である「PSA」を採血して測定することが大切です。PSAは前立腺でつくられていますが、前立腺に異常があると血液中に漏れ出てきます。PSAの数値は年齢ごとによって基準値が異なり、日本泌尿器科学会のガイドラインに従って診断されます。

前立腺がんが疑われる場合には、医師が手袋をつけた指に潤滑油を塗り、肛門に直接挿入して直腸の壁越しに前立腺を触知し、前立腺の大きさや硬さ、痛みの有無を調べる「直腸診」が行われます。また、精密検査として超音波検査、CTやMRI検査も行われます。

確定診断の際には針生検を実施します。前立腺にしこりがある場合は、その部位から生検を行いますが、しこりがはっきりしない場合は前立腺の12か所から生検するのが標準となっています。

前立腺がんの治療は、手術と放射線治療が標準です。前立腺摘除では、手術ロボット「ダ・ヴィンチ」を利用したロボット支援前立腺全摘除術も普及しています。また前立腺がんでは進行の遅いタイプが多いため、無治療で経過観察を行う場合もあります。

がんの進行リスクが高いか低いかを判断する際の基準となるのは、直腸診、転移の有無、腫瘍マーカーPSAの数値、そしてグリーソンスコア(下の表を参照:サノフィ様から拝借しました)です。グリーソンスコアとは、生検で得られた組織像を元に2から10のスコアに分類するもので、数値が高いほど悪性であることを意味します。

グリーソンスコア