臓器別に見るがんの症状と検査方法

子宮頸がんは発症者の年齢が若年化しており、検診・ワクチンによる対策が重要

子宮の入り口にできる「子宮頸がん」は、性行為を通じてHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染し、それが持続することで発症します。がん細胞の増殖スピードは遅く、5〜10年かけて浸潤がんになります。性行為の経験のある女性の多くはHPVに感染した経験があるのですが、通常は免疫の働きによってウイルスは退治されます。しかし、ごく一部の人は感染が持続化し、がんを発症します。

ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因

子宮頸がんの発症者数は30〜40歳代にピークとなりますが、近年は20〜30歳代に急増しています。サーバリックス、ガーダシルというHPV感染の予防ワクチンの実用化によって、がん発生の予防も可能になりました。ただし、ワクチンで予防できないHPVの型もあるので、ワクチン接種の有無に関係なく、20歳を過ぎたら定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

予防ワクチンは全世界で使用されており、子宮頸がんの高い予防効果が広く認められていますが、国内ではワクチン接種100万回に1回程度の割合で重篤な副作用が現れる可能性を否定できないため、積極的な推奨は行われていません(2016年2月現在)。

子宮頸がんは、表面の上皮内にとどまっていれば、膣から子宮頸部を除去する「円錐切除術」という簡単な手術でほぼ100%の完治が期待できます。進行していた場合、子宮頸部に留まっていれば、子宮のみの摘出(単純子宮全摘出術)で済みますが、周囲の臓器に広がっている場合は、子宮と一緒に卵巣、膣の一部、骨盤リンパ節などを摘出することもあります。

子宮頸がんが転移しやすいのは、骨盤内リンパ節、傍大動脈リンパ節、肺、肝臓、骨です。骨への転移は、超音波、CT、MRIで検出することはできm船が、PETならば検出が可能です。

もし、がんが骨盤壁や膣の下方にまで広がっている場合は、手術で病巣を取り除くことはできないんど絵、放射線療法や化学療法(抗がん剤)を考慮します。

一方、子宮内膜から発生する「子宮体がん」は、更年期や閉経後の女性に多くみられます。これは子宮内膜は生理時に剥がれ落ちるため、閉経前の女性はほとんどリスクがないためです。原因はホルモンバランスの異常などが考えられ、初期症状としては不正出血がみられます。

いずれのがんも、検査の際には子宮から細胞を採取して、良性か悪性化を調べる「細胞診」が行われます。その結果、がんが疑われる場合には、コルポスコープ診や子宮な膜組織診などの精密検査が行われます。近年は痛みが全くない経膣超音波検査が普及しており、子宮口が閉鎖した閉経後の女性には、特に有用となっています。

上記の子宮頸がんは自治内の集団検診がありますが、子宮体がんは自治内の検診はなく、自己負担で任意の医療機関で検査を受けることになります。自治内の検診に子宮体がん検診がないのは、子宮頸部に比べて、子宮内膜の細胞の採取が難しいという技術的な問題です。

子宮がん検診は、がんの発見だけでなく子宮筋腫や卵巣嚢腫など婦人科で診察機会の多いポピュラーな病気を発見する機会でもありますので、子宮がん検診を受けたことのない人は、一度受けてみましょう。