臓器別に見るがんの症状と検査方法

女性の12人に1人が発症する乳がんの早期発見には自己検診が不可欠

乳腺に発症する悪性腫瘍である「乳がん」は、女性に発生するがんで最も患者数が多く、国立がんセンターの2015年の統計予測では約9万人と推測されています。発症者は30歳代後半から急激に増え始め、40歳代後半にそのピークを迎えます。

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女性ホルモンが発症に関与していると推測されていることから、初潮年齢が早い人、閉経が遅い人、未婚の人、出産経験がない人、肥満の人は乳がんのリスクが高いとされています。また遺伝性乳がんの患者さんも少なくないことから、母親や姉など肉親に乳がんに罹ったことがある人もリスクが高くなります。

体の表面部位にできる乳癌は、数あるがんの中でも自身の目で見て、触れることができる数少ないがんの一つです。月に1回は乳房の形、大きさ、皮膚のひきつれ、乳首のへこみ、しこりがないかをチェックする自己検診を行うことが、早期発見のカギとなります。早期発見で90%の人は治癒しますので、なにか気になる点がある場合は、乳腺外科などを受診しましょう。

乳がんのしこりは、硬くて凸凹があり、指で抑えても痛みを伴わないのが特徴です。入浴時に鏡の前で手を上下させたり、乳房を指でつまんだりして、エクボ状のくぼみがないかを確認しましょう。乳頭から血性の分泌物が出る、皮膚が赤い、凸凹しているなどの異常がある場合、乳腺外科の医師に診てもらいましょう。

乳がん検診では、医師による視触診、マンモグラフィが基本となっており、そのうちマンモグラフィは40歳以上の人が推奨とされています。触診では診断できない小さなしこり、あるいはその前の段階の微細ながん細胞の発見に有効なのが、マンモグラフィです。乳腺が発達して胸が大きい若い女性は、マンモグラフィでがんを発見することが難しいケースもあるので、乳腺エコー(超音波)が行われることもあります。

自治体が実施するマンモグラフィ検診は40歳以上の女性を対象に2年に1回の受診が推奨されていますが、冒頭に記載したリスク要因が複数当てはまる方は、30代でも最寄りの乳腺外科やレディースクリニック等でマンモフラフィの検査を受けておくと安心です。

マンモグラフィや超音波検査で乳がんを疑わせる病変が見つかった場合、生体検査(組織検査)で確定診断を行います。そこで乳がんと診断されると、MRIやCTなどで病巣の広がりを確認してステージ(病期)の判定を行い、診療方針を決定します。

乳癌の治療は手術と放射線、抗がん剤、ホルモン療法の組み合わせで行うことが一般的です。手術は乳房温存手術が主流になっており、ただがんを治すだけでなく、傷跡が残らないようになるべく綺麗な状態で乳房を残すという意識が高まっています。